About
Karimoku Re:issue by Lichen is reintroduction of timeless design exhumed from the Karimoku Furniture archive through the eyes of Lichen.
Lichen(ライケン)は、エド・ベとジャレッド・ブレイクによって2017年に設立されたデザインインキュベーター兼スタジオです。家具や空間デザイン、これらの要素との過去と現在の関わり方を探求することを中心に活動しています。
ヴィンテージ家具への鋭い審美眼を持つLichenは、眠っていたソファの存在を記憶に呼び覚ましました。
Re:issueというアイディアは、Lichenの原点であるヴィンテージの生活雑貨や家具の取り扱いから導き出されました。新たなデザインを生み出す一方で、彼らは常に、“住まい”という概念の中で、過去・現在・未来がどのように交わり、スタイルと快適さの均衡を保つのかを考えています。

Karimoku Re:issue by LICHEN クリエイティブディレクター

カリモク家具のショールームを訪ね、何十年にもわたるクラフトマンシップの歴史をたどっていたとき、ちょうど階段の踊り場にひっそりと佇んでいたZEソファにLichenは出会いました。その瞬間、このデザインは再び光を当てるべきだと彼らは確信しました。このソファには、まさに80年代ならではの技術が息づく一方で、驚くほどコンテンポラリーでもあり、時代を超えた普遍性と柔軟性が共存する稀有な存在でした。当初は企業の会議室向けにデザインされたソファでしたが、Lichenは慎重に改良を加え、現代の住空間にふさわしい家具としてアップデートしました。
クリーンなラインとバランスの取れたプロポーションが特徴で、レザーとファブリックいずれの張地においても、変わらぬ快適さと品位を保ちます。住空間にもワークスペースにも自然に溶け込むこのコレクションは、高い柔軟性を備えており、日本のヴィンテージ家具が誇る確かな品質と、ヨーロッパの優雅さを併せ持つ、時代を超えて愛されるステートメントピースです。


1980年代のイタリアンモダンの影響を受けた、ZEソファコレクションのボリューミーな曲線は、「差動送り」という縫製技術によって実現しています。これは縫い目に沿って均一な美しいギャザーを生み出す技術で、特にレザー素材においては高度な職人技が求められます。今回のZEソファの復刻によって、この技術に再び光が当てられました。
Lichenの視点を通してカリモク家具の技術を再発見することこそが、このコラボレーションの真の価値です。
1982
2025
ZEソファ
(カリモク家具、1982年発売)
1982年に日本で製造されたイタリアンモダンスタイルのソファで、洗練されたデザインと卓越した職人技が融合しています。当時のフォルムや快適性、素材へのこだわりを体現した一台です。



ZEソファのカリモク家具の社内で使用されていた元の品番は「ZE9650GJ」でした。「Z」は総張り込みの製品を、「E」はイタリアンモダンデザインシリーズを示し、「9」で始まる品番は高級ランクの製品に付けられていました。このZEソファは応接室や役員会議室向けにデザインされ、1982年のカタログに掲載され、1982年から1988年まで製造されていました。


「ZEソファコレクション」は、2025年1月に東京・西麻布のKARIMOKU RESEARCH CENTERにて 「Karimoku Re:issue by LICHEN」として発表されました。
Lichenはこのソファに新たな視点を加え、「現代のプライベート空間=日常におけるリラックス空間」にふさわしいモダンで洗練された家具として再構築しました。 時代を超えたデザインに対し、常に包括的なアプローチを取るLichenは、「ZEソファ」を改めて見つめ直し、空間にもさりげない気品をもたらす存在として再定義しました。 その佇まいはかつての用途をそっと脱ぎ捨て、現代的でありながら普遍的な魅力を併せ持つプロダクトとして生まれ変わりました。